目次
相続手続きをしていない場合の注意点
相続手続きをしないで放置すると、借金を受け継ぐなど下記のリスクやデメリットがあります。
- 借金の返済義務を負ってしまう
- 相続税に延滞税などのペナルティが発生する
- 預貯金の権利が消滅してしまう
- 株式の権利が消滅してしまう
- 遺留分侵害額請求が時効を迎えてしまう
- 相続回復請求権や取戻権が消滅してしまう
- 相続登記の手間が増えてしまう
- 相続不動産の権利を主張できなくなる恐れがある
- 相続した不動産の固定資産税が最大6倍になる恐れがある
それぞれ詳しく解説していきます。
借金の返済義務を負ってしまう
相続は預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も受け継ぎます。 したがって、相続手続きをしないで放置していると単純承認したことになり、被相続人の借金を受け継ぐ恐れがあります。 被相続人が多額の借金を遺していた場合は、相続放棄や限定承認を検討しましょう。相続放棄や限定承認を選択すれば、自分の財産から借金を支払う必要はなくなります。 ただし、相続放棄や限定承認は自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で申立てが必要です。
相続税に延滞税などのペナルティが発生する
相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内であり、申告期限に間に合わないと延滞税や無申告加算税などのペナルティが発生します。 相続税の申告期限は他の手続きの期限と比べ余裕があるように感じますが、相続税の申告を完了させるには下記をすませておく必要があります。
- 相続人調査
- 相続財産調査
- 遺産分割協議
そのため、相続税の申告期限に間に合わせるには、相続発生後から効率よく各種手続きや調査を行なっていかなければなりません。
自分たちで相続財産調査や相続人調査を行うのが難しい場合は、相続に詳しい専門家に依頼することも検討しましょう。
また相続に精通した税理士に相続税申告を依頼すれば手間を軽減できるだけではなく、控除や特例を適用し相続税を節税してもらえます。
預貯金の権利が消滅してしまう
被相続人の預貯金は、金融機関が相続開始を知ったときに凍結され、解除するには相続人全員で手続きをしなければなりません。 加えて、被相続人の預貯金の解約手続きを放置し5年を経過すると法律上は払い戻し請求権が消滅してしまいます。 払い戻し請求権が消滅すると、解約や引き出しができなくなる恐れもあるのでご注意ください。
株式の権利が消滅してしまう
遺産に上場株式がある場合は、被相続人から相続人へ名義を変更し、所有株式を移管する手続きが必要です。 しかし、上場株式の相続手続きを放置し、証券会社からの通知も届かず配当金の受け取りもないまま5年間経過すると、株主所在不明と判断され、発行会社に買い取られたり売却されたりする恐れがあります。 最悪の場合、遺産の上場株式を勝手に売却されるだけでなく売却代金も受け取れなくなるのでご注意ください。 加えて、上場株式の相続手続きが完了しないと相続人は株主議決権の行使などもできませんし配当金の受取もできません。
遺留分侵害額請求が時効を迎えてしまう
相続開始および遺留分が侵害されていることを知って1年が経過すると、遺留分侵害額請求権が時効を迎えてしまいます。 遺留分侵害額請求権とは、被相続人の配偶者や子供などに認められる権利であり、行使すれば最低限度の遺産を受け取ることを主張できます。
遺留分の時効は、下記のいずれか早い時期です。
- 相続開始および遺留分が侵害されていることを知って1年
- 相続開始から10年
遺留分侵害額請求の時効を迎えそうな場合は、遺留分の金額を計算し相手方に内容証明郵便を送付するなどしておきましょう。 遺留分侵害額請求権を行使して相手方に請求していれば時効の進行をストップできます。
相続回復請求権や取戻権が消滅してしまう
相続回復請求権とは、他の相続人や第三者に相続権を侵害されたときに財産を取り戻せる権利です。相続回復請求権の時効は、下記のように設定されています。
- 相続権の侵害を知ったときから5年
- 相続権の侵害を知らなかった場合は相続開始から20年
時効を迎えてしまわないように、相続分が侵害されていることを知ったときは相続回復請求権を行使しましょう。
相続登記の手間が増えてしまう
被相続人が不動産を遺していた場合は、相続登記を行い被相続人から相続人へ名義変更をする必要があります。 相続登記に期限は設定されていませんが、相続登記をしないまま次の相続が発生すると登記申請の必要書類が増えてしまいます。 数世代にわたり相続登記を放置している不動産があると、古い戸籍謄本なども収集しなければならず、相続人たちが自分で集めることが難しい場合もあるでしょう。 複数回の相続登記を行いたい場合は自分で行うのではなく、相続に詳しい司法書士に登記申請を依頼するのがおすすめです。
相続不動産の権利を主張できなくなる恐れがある
不動産を相続したにもかかわらず登記申請をせずに放置していると、第三者に先に登記され不動産の権利を主張できなくなる恐れがあります。 最悪の場合、相続した不動産を失ってしまうのでご注意ください。
相続した不動産の固定資産税が最大6倍になる恐れがある
相続した不動産を放置し管理が行き届いていない状態になると、固定資産税が最大6倍になる恐れがあるので注意しましょう。 住宅が建築されている土地の固定資産税は住宅用地の特例により一定の面積まで固定資産税が6分の1になっています。 しかし空き家の管理が悪く特定空き家に指定されると、住宅用地の特例が適用されず固定資産税の金額が上がってしまいます。そのため、相続した不動産に関わる税金が不安な場合は、ぜひ税理士など専門家へ相談されることをおすすめします。
昭和59年明治大学経営学部卒業。銀行勤務を経て平成元年司法書士試験合格。昭和63年から平成3年まで室原司法書士・土地家屋調査士事務所に3年間勤務。平成15年に司法書士法人リーガルシップを設立し、代表を務める。その後、地元熊本での相続関連業務を中心に業務を拡大し、相続対策に関する特集で取材を受けるなど、相続分野で今最も注目を集める士業資格者の一人である。相続・遺言・贈与に留まらず、税理士と提携した相続税対策や不動産会社や解体業者と提携した空き家問題解決策などにも幅を広げ、相続に関する顧客の課題をワンストップで解決している。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累計相談件数3,000件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。
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