限定承認と単純承認
相続財産を一言に「引き継ぐ」と言っても、引き継ぐ方法には2種類あります。 相続財産を限定承認する方法と単純承認する方法です。
限定承認
限定承認とは、債務のうち相続財産を超える部分の返済義務を相続しない方法です。 プラスの財産とマイナスの財産があった場合に、プラスの財産の限度においてマイナスの財産も相続し、それ以上のマイナスの財産を相続しない方法です。
限定承認をする場合は、以下のような手続きが必要となります。
- 相続人全員の総意が必要
- 相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に「限定承認の申述審判申立書」を家庭裁判所に提出
- 限定承認を選択した場合には、不動産などの値上がり益が精算されると考えるため、譲渡益相当額の所得税課税がされる
限定承認が有効なケースとしては、以下のようなものが考えられます。
- 債務が超過しているかどうかはっきりしない場合
- 債権の目途がたってから返済する予定であるような場合
人が亡くなった後は精神的な疲労もありますが、色々手続きが盛りだくさんです。行政手続きをやりつつ、相続人の相続財産を調査して、相続しても良いものなのか判断することが重要です。決して後回しにしてはいけません。
単純承認
単純承認とは、相続財産のすべてを引き継ぐ方法です。 また、この他に下記の場合には単純承認したことになります。
- 相続人が、相続財産の全部又は一部を処分したとき
- 相続人が相続開始を知った時から3ヶ月以内に限定承認又は放棄をしなかったとき
- 相続人が、故意に相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私的にこれを消費したとき
これらの場合は、相続する意思がたとえなかったとしても、相続したことになります。
昭和59年明治大学経営学部卒業。銀行勤務を経て平成元年司法書士試験合格。昭和63年から平成3年まで室原司法書士・土地家屋調査士事務所に3年間勤務。平成15年に司法書士法人リーガルシップを設立し、代表を務める。その後、地元熊本での相続関連業務を中心に業務を拡大し、相続対策に関する特集で取材を受けるなど、相続分野で今最も注目を集める士業資格者の一人である。相続・遺言・贈与に留まらず、税理士と提携した相続税対策や不動産会社や解体業者と提携した空き家問題解決策などにも幅を広げ、相続に関する顧客の課題をワンストップで解決している。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累計相談件数3,000件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。
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