目次
二次相続対策として有効な方法
二次相続に備えるにはなにをすれば良いのか、具体的な二次相続対策についてご説明します。
生前贈与を行う
一次相続の段階から、少しずつ配偶者や子へ贈与を行うといったことも効果的な二次相続対策です。 毎年110万円までなら贈与税もかからない基礎控除がありますし、夫婦間でも家や土地の贈与の際に2,000万円までの非課税枠があります。ただし、生前贈与として認められるのは、亡くなる3年以前の財産とされており、3年以内に行われた贈与は相続税の対象として課税されてしまうので注意が必要です。
一次相続による財産の取得金額を調整する
一次相続の際に配偶者への相続財産を減らしておくという方法があります。配偶者への分配を多くせず、子供に多めに相続分を確保しておくことで、トータルでの税額を減らすことにつながります。
しかし、小規模宅地等の特例を子どもが利用するには、両親と同居している必要があります。同居していない場合には特例は利用できません。
また、配偶者の資産を減らしすぎて、生活に支障をきたすような相続となっては良くありません。残された配偶者の方の今後の生活を考え、バランスをとることが最も大切です。
相続する財産を現金化する
一次相続で、配偶者が取得した財産で預金化できるものは全て現金化しておくことで、二次相続による多額の納税資金に困らないようにするといった対策が取れます。
子どもに実家を相続させる
一次相続の際に子どもへ実家を相続させることによって、二次相続を軽減できる可能性があります。 一次相続において実家を子どもに相続した場合、小規模宅地の特例を適用できるので相続税の大幅な軽減が期待できます。 一次相続においては、配偶者の税額軽減の特例が適用されることが多いため、小規模宅地の特例の効果が少ない、または全くないこともあるため、税額軽減の特例は実家以外の財産へ使うことが望ましい場合もあります。 こうすることで、税額軽減の特例および小規模宅地の特例を十分に活用できるのです。
母(父)が生命保険に加入する
生命保険の活用は手軽に行いやすい二次相続対策と言えます。生命保険の受け取り金は相続税の課税対象として取り扱われるものの、非課税枠として法定相続人1人に対して500万円が設けられています。非課税も適用できるうえ、預貯金のように凍結されることなく現金を手にすることができるので、相続時に納税金としての活用も可能です。相続対策においては、終身保険であれば高齢や持病があっても比較的加入しやすいので、終身保険を中心に検討してみるのが良いでしょう。
相続をする場合の財産の種類を変更する
一次相続の際に配偶者へ資産性の高い財産の相続を避けることが、二次相続の相続税を抑えることにつながります。 一次相続で配偶者へ賃貸住宅のような家賃収入が得られる財産を相続すると、毎月の家賃収入が積み重なることになり、二次相続のときには大きな資産となっている可能性があります。 二次相続の時点で配偶者の資産が大きくなっていると課税額が大きくなり、相続税がかさみます。節税の観点のみから考えると、家賃収入や配当のような資産を産む性質のある財産は、一次相続の際に子どもへ相続しておくのが良いでしょう。
相次相続控除による優待規定を利用する
10年の間に一次相続と二次相続が行われる場合、相次相続控除による優待規定が利用できる可能性があります。相次相続控除の優待規定が適用されると、配偶者が一次相続の際に納めた相続税のうち、一定金額が二次相続の納税額から控除されます。10年以内に一次相続と二次相続を行うことになった場合には、申告を忘れずに行いましょう。
昭和59年明治大学経営学部卒業。銀行勤務を経て平成元年司法書士試験合格。昭和63年から平成3年まで室原司法書士・土地家屋調査士事務所に3年間勤務。平成15年に司法書士法人リーガルシップを設立し、代表を務める。その後、地元熊本での相続関連業務を中心に業務を拡大し、相続対策に関する特集で取材を受けるなど、相続分野で今最も注目を集める士業資格者の一人である。相続・遺言・贈与に留まらず、税理士と提携した相続税対策や不動産会社や解体業者と提携した空き家問題解決策などにも幅を広げ、相続に関する顧客の課題をワンストップで解決している。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累計相談件数3,000件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。
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