種類株式の活用
種類株式とは、各株式の権利が同一の通常の株式(便宜「普通株式」と呼びます)とは異なり、株主の権利について普通株式とは違った権利を付与したり、一部の権利を制限または剥奪した株式のことを指します。
この種類株式をうまく活用すると、事業承継をスムーズに行うことができます。
中小企業の定款整備・内容確認
中小企業の定款を今一度確認し、整備をすることで株式に相続が発生した場合に備えましょう。
中小企業の場合、経営者が亡くなった場合、経営者(会社)=所有者(株主)ではなくなることがあります。 また、株主に相続が発生した場合、経営者が全く知らない株主が登場するということも考えられます(株主の配偶者や子供等)。
こういったときに、定款を整備しておけば、ある程度この相続に関するトラブルを予防することが可能なのです。 定款は、簡単に言うと会社の中の決まりを定めているものです。 この「定款」をきちんと整備しておかないと、相続発生後、事業を継ぐ後継者の方が思わぬ事態に遭遇してしまうかもしれません。
経営者が株式を全て所有しているうちに、定款の整備をしておきましょう。
整備の例として、相続人から株式会社の株式を買い取る規定や、特定の株主からだけ株式会社が自己株式を取得し、他の株主には自己株式の買い取り請求をさせない定款変更をするケースが考えられます。
種類株式の発行に関して
こういった際に最近良く使われるのが、種類株です。 種類株とは、会社法の規定の範囲内で定款に定めることによって、株主の権利について普通株式とは違った権利を付与したり、株主の権利の一部を制限または剥奪した株式のことです。
種類株式の例は次の通りです。
- 取得請求権付種類株式
- 剰余金の配当
- 残余財産の分配
- 拒否権付種類株式
- 議決権制限種類株式
- 譲渡制限種類株式
- 取得条項付種類株式
- 全部取得条項付種類株式
- 種類株主総会において取締役または監査役を選任することができる種類株式
種類株式を発行する場合には必ず、各種類株式ごとの発行可能株式総数も一緒に定款で定めておく必要があります。 種類株式の発行の定款変更決議のときにあわせて定款変更をしてください。
昭和59年明治大学経営学部卒業。銀行勤務を経て平成元年司法書士試験合格。昭和63年から平成3年まで室原司法書士・土地家屋調査士事務所に3年間勤務。平成15年に司法書士法人リーガルシップを設立し、代表を務める。その後、地元熊本での相続関連業務を中心に業務を拡大し、相続対策に関する特集で取材を受けるなど、相続分野で今最も注目を集める士業資格者の一人である。相続・遺言・贈与に留まらず、税理士と提携した相続税対策や不動産会社や解体業者と提携した空き家問題解決策などにも幅を広げ、相続に関する顧客の課題をワンストップで解決している。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累計相談件数3,000件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。
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