預貯金の名義変更
金融機関は被相続人の死亡を確認した時点から、被相続人の預貯金口座を凍結し、払い戻し等の手続きができなくなります。 なぜ金融機関が口座を凍結するかというと、一部の相続人が勝手に預貯金を引き出し、他の相続人の権利を侵害してしまう可能性があるからです。
この場合は法的紛争になる可能性が高く、金融機関としても責任を問われる可能性があるため、当然の対応とも言えます。
凍結された預貯金の払い戻しができるようにするための手続きは、各金融機関所定の用紙の他に、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(法定相続情報一覧図でも可)や相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明、遺産分割協議書など様々な書類を提出する必要があり、各金融機関と役場を何度も往復することにもなり、非常に煩雑です。
預貯金の相続手続きに必要な書類
凍結された預貯金の払い戻しができるようにするための手続きは、遺言書がある場合とない場合で手続きが異なりますし、それぞれの状況でも変わってきます。
遺言書がある場合
- 金融機関所定の払い戻し請求書
- 遺言書
- 被相続人の除籍謄本(最後の本籍の市区町村役場で取得できます)
- 遺言によって財産をもらう人の印鑑証明書
- 検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外の遺言書の場合)
- 遺言執行者の選任審判書謄本(裁判所で遺言執行者が選任されている場合)
- 被相続人の預金通帳と届出印(印鑑はなくても大丈夫)
- ※手続きに必要な書類は、各金融機関に必ずご確認ください。
- ※遺言書がある場合でも、相続人全員の印鑑証明書付きの同意書を要求する金融機関もあります。
遺産分割協議書がない場合(遺言書がない場合)
- 金融機関所定の払い戻し請求書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までのものすべて)または、法定相続情報一覧図
- 各相続人の現在の戸籍謄本(法定相続情報一覧図を提出する場合は不要)
- 被相続人の預金通帳と届出印(印鑑はなくても大丈夫)
- ※手続きに必要な書類は、各金融機関に必ずご確認ください。
調停・審判に基づく場合
- 金融機関所定の払い戻し請求書
- 家庭裁判所の調停調書謄本または審判書謄本(いずれも家庭裁判所で発行を受けることができます)
- 預金を相続した人の戸籍謄本と印鑑証明書
- 被相続人の預金通帳と届出印(印鑑はなくても大丈夫)
- ※手続きに必要な書類は、各金融機関に必ずご確認ください。
昭和59年明治大学経営学部卒業。銀行勤務を経て平成元年司法書士試験合格。昭和63年から平成3年まで室原司法書士・土地家屋調査士事務所に3年間勤務。平成15年に司法書士法人リーガルシップを設立し、代表を務める。その後、地元熊本での相続関連業務を中心に業務を拡大し、相続対策に関する特集で取材を受けるなど、相続分野で今最も注目を集める士業資格者の一人である。相続・遺言・贈与に留まらず、税理士と提携した相続税対策や不動産会社や解体業者と提携した空き家問題解決策などにも幅を広げ、相続に関する顧客の課題をワンストップで解決している。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累計相談件数3,000件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。
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